〜歯を抜きましょう」と歯医者に言われでも、すぐにうなずいてはいけない〜

 

首都圏在住、元音楽教師の60代女性。健全な歯を抜いて義歯タイプのインプラントを入れた。

歯科医からは「死ぬまで自分の歯のように噛める。」と言われた。そして手術から10年経った今年一月。歯科用鏡で自分の歯をよく見ると、インプラントに装着した6本のセラミック製人工歯が欠けたり、穴が出来たりしているのに気がついたのだ。「驚きましたよ、欠けた部分にはネジの頭が見えているんです。・・・歯科医に抗議すると“そんなの当たり前です。毎日使っているんだから車のタイヤと同じで摩耗します”と言われました。手術前には確かに一生もつといっていたし、インプラントが壊れると説明されなかったので愕然としました。」と

 

この表現も読者に怖さを煽る書き方ですよね。一生持つとはインプラント体の事を言ったんだろうし、上部構造物が入れたときと同じようにまっさらな状態であるなど劣化しないものが人間の体を含めあるだろうか?と思います。ちなみに上部構造物はインプラントではありません。

ただ、この先生のオールオンフォーというやり方やマグネット義歯などは私自身優れたものだと思っていません。もし、この方法でやるならば全顎でインプラントをやった方が良いですね。もし、オールオンフォーというやり方で行うのなら通常の義歯の方が納得いくでしょうし、文句も出ません。何しろ保健診療ですから。仕事がらインプラントを希望されるのであれば義歯タイプのオールオンフォーを選択させるのではなく、全顎的にインプラントを行った方がより安全で安心ですよね。

 

また、この記者はこうも書いてる。

歯科医はインプラント、入れ歯、ブリッジなどの選択肢を示しながら「歯を抜きましょう」と聞いてくるが、その先に何が待つのか、必ずしも十分に説明されているとはいえない。と。

 

この文書も意味不明です。インプラント、入れ歯、ブリッジはすべて歯を抜いた後どうするかという選択です。説明してありながら“その先に何が待つのか、”人工物で補うための3つの選択であると分かった上での説明が理解出来ていないのです。

患者さんは説明しても何のことかよく分からないことが多いのですが、記事を書く、人に伝える(例えどんな低俗な雑誌でも)のならきちんと理解した上で文書に起こすのがプロではないでしょうか。少なくとも人目に触れる文書を書くプロならばそれなりの自覚が欲しいと思います。

また、よく間違えるのが、むし歯の歯を抜くのと歯周病で歯を抜くのは歯の状態に大きな差がある。

むし歯は形が残っていないことが多いですが、歯周病は歯が健全な状態で抜く事が多いです。抜いた状態を見るといかにも健康であるかのように見えます。

勿論、このインプラントをやった歯科医が歯周病に関してもっとリアルに残そうとしているのかが疑問ですが。